2009年9月13日日曜日

タイの性転換の年齢規制


タイの性転換の年齢規制よりきびしく

9月11日のタイの英字紙THE NATIONの記事をご紹介します。

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性転換規制11月29日より強化される

タイ医療協議会の理事長ドクター・サンパンが9月11日発表した内容の趣旨は、トランスジェンダーの人が性転換手術を受けるには18歳以上でなければならない、という規則を厳密に適用することにするというものです。

トランスジェンダーで18歳から20歳までの当事者は親の同意が必要であるが、20歳以上なら当事者個人の判断で決めることができる。しかし前提事項として精神科医の診断書、ホルモン治療を受けていること、一年以上女性として生活していることが性転換手術の必要条件になる。

また、性転換手術を行う医師はタイ医療協議会に登録すると同時に、術後の合併症などの治療まで責任をもって行うことが要求される。

このような規制は性転換手術の水準を高めるためであり、規則を破る医師には警告だけにとどまらず、医師免許剥奪などの処置をとることもありうる。

タイトランスジェンダー女性の代表であるヨランダ・スワンヨットさんは、この新しい規制には賛成であるが、内務省、外務省、法務省などの他の関係省庁も関連する法律を改正して、性別を男性から女性に変更できるように法改正を行うべきであると主張している。

「性転換手術を受けたあと書類上の性別がMr.からMissに変更されるようになれば、もっと尊厳をもって女性として生きていくことができる。IDやパスポートを見せるたびに自分が“レディーボーイ”であることを説明しなくてもよくなるのです。普通のひとたちと同じように尊厳をもって生きたいのです」とヨランダさんは言う。


      (男性記載のままのIDカードを見せるTS女性たち)

法務局の調査官サームキアット氏は、トランスジェンダーのグループが結束して独立機関である国家人権委員会に、民法、刑法、戸籍、相続法など関連する法律改正にむけて助力を要請するのが早道ではないかと提案している。

サンパン医師も同じ意見で、関係する省庁が“第三の性”の市民のための特別法を制定するように希望していると述べている。

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タイでは12歳ごろからホルモン治療を始めるTJも多いため、18歳前にSRSをこっそり済ませてしまうケースがあっても不思議ではないです。今回の年齢規制強化の背景にはそのようなタイの“すべては自己責任で”という、おおらかな社会背景があるように思えます。

07年10月7日の投稿でも取り上げたように、タイでは“レディーボーイ”や“カトーイ”として社会的な認知度は高く、都会、田舎を問わずその存在は一般的に知られていて、とくに差別意識が国民の間にあるようには思えない。しかし、法的な面での整備はまったく行われていないのが実情で、2年前の状況から何も変わっていないようです。性転換手術では世界でも指折りの先進国であり、海外からの手術希望者も多いという反面、タイ国民への人権保護がほとんどされていないというちぐはぐさは、これまたタイ人のおおらかさでしょうか。

とはいうものの、日本でも「性同一性障害者性別取扱特例法」にいたるまでには政治家を巻き込んだ気の長い運動があってやっと特例法ができたことを思うと、タイではまだまだ時間がかかりそうですね。

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